ディズニーパークと言えば、夜のイルミネーションも魅力の一つです。
スマホで簡単に撮影ができる時代ですが、より綺麗に写真に残したいのなら、一眼レフなどの本格的なカメラは必要不可欠です。パーク内でも多くの方が一眼レフを構えて撮影をされています。
日中より暗い夜の撮影には、三脚は必須アイテム。しかし、ディズニーパークは三脚の使用が禁止されているのです。
「どうやったら三脚を使わずに夜景が撮影できるか」みなさんも、いろいろなサイトで調べたことと思います。
①三脚無しでは手ぶれするので、シャッタースピードは速く
②多くの光が取り込めるよう、F値は開放で(数字を小さく)
③感度を上げる為にISOは高く
おおまかにこの3つの結論に達したのではないでしょうか?三脚無しで夜景を撮るには、どれも必須の結論ではあるのですが・・・
この記事のタイトルは
「夜景を撮る方法」
ではなく、
「夜景を綺麗に撮る方法」
です。
上で紹介した設定は全て忘れて読み進めてください。
カメラ設定の基礎知識
コンデジやミラーレス一眼、一眼レフを使いこなせてない人向けの基礎知識です。すでに使い慣れてる人は、この項目は飛ばして下さい。
写真の明るさを決める要素は「シャッタースピード(SS)」「絞り(F値)」「ISO感度」の3つです。
シャッタースピード
シャッタースピードとは、シャッターを押してから「パッシャ」っと音が鳴るまでの時間です。この時間を利用して光を取り込みますので、シャッタースピードが遅ければ遅いほどたくさんの光を取り込みます。
夜は暗いので、取り込める光があまりありません。写真を明るくしようとすれば、より遅いシャッタースピードが必要なわけです。
しかし、シャッタースピードが遅いと手ぶれします。
シャッターを押してから「パッシャ」っとなるまでの時間全てをカメラは記録していて、それを重ね合わせて1枚の写真に仕上げるからです。この時間内に1㎜動けば、1㎜分残像のように映ってしまうのです。
夜景で三脚が必須と言われているのはこの為なんですね。動かしちゃだめなんです。
ですので、三脚無しで夜景を撮る時は、シャッタースピードを手ぶれしない程度に早くするのが一般的です。
だいたい焦点距離の逆数分の1以下なら手ぶれがおきにくいと言われています。つまり、50㎜の焦点距離なら1/50秒のシャッタースピードがギリギリですね。
しかし今回の記事では、あえて手ぶれ必至のシャッタースピードに設定します。
絞り(F値)
高いカメラを買う理由の最たるものとして「ボケをいかした写真を撮りたい」というものがあります。つまり、カメラを入手した多くの人が最初に覚えるのは、「ボケ」に関係する、この絞り(F値)です。
絞りを開ける(数字を小さくする)と、光の取り込む量が増え、ボケやすくもなる。絞りを閉める(F値を大きくする)と、光の取り込む量が減り、ボケにくくもなる。
つまり絞り(F値)とは、光の量とボケ具合の数値です。
暗い夜の撮影では、シャッターが開いている時間により多くの光を取り込まなければなりません。その為、絞り(F値)を開ける(数字を小さくする)必要があるわけです。
しかし今回の記事では、あえて絞り(F値)を閉めて(数字を大きくして)設定します。
なぜなら、絞り(F値)には、第3の役割があるからです。
ISO感度
ISO感度の数値を上げると、少ない光の量をカメラが感知できるようになります。
つまり、同じ光量ならば、ISO感度の値が高いほうが、明るい写真に仕上がります。
暗い夜の撮影では、少ない光を効率よく感知する為に、ISO感度は高めに設定しておくのがセオリーとなっています。
しかし、ISO感度を上げると、副作用で写真がザラつきます。ノイズが発生するのです。
この写真はISO12800で撮影しました。スマートフォンなどの小さい画面で見ても、画面全体がザラついてるのがお分かりでしょう。
一般的に、画面が大きければ大きいほどノイズが目立ちますから、スマートフォンなどで観賞する場合はISO6400、PC画面ならISO3200が上限かな?と個人的には思います。
しかし今回はノイズの無い綺麗な写真ですから、ISO感度は200ぐらいに下げて設定します。
三脚無しで夜景を撮る前に
さて、ここからが本題です。
まず、夜景を撮る前にやらなければいけない事があります。
それは、撮影モードをAv(絞り優先)モードにすることです。
「三脚のない夜景撮影ではAvモードは厳禁」なんてセリフ、あちらこちらのサイトで見てきたでしょう?でもいいんです。
ディズニーパーク内では場所によって照明の明るさが異なります。これ、その都度設定を変えなければいけないわけです。
でも、Avモードにしておけば、絞り(F値)とISO感度は固定でき、あとはカメラが勝手にシャッタースピードを考えてくれます。
ちなみにホワイトバランスもオート、つまり「AWB」に設定しましょう。
綺麗な写真には2種類ある
まず前提として、建物を撮る場合、水平を保つことが綺麗な写真になります。カメラに水準器がついているなら便利ですが、水準器がついていないカメラもあります。
写真の中心線、この写真の場合、分かりやすいように黄色の線を入れてありますが、中心がこの線に沿って平行になっていれば、水平が取れているということになります。窓枠や柱など真っすぐなものが、中心線に平行になっているでしょうか?
建物は水平が取れていないとおかしな図になってしまいます。
ね!水平が取れていないと、今にも倒れそうな気持悪い図になるでしょう?
それを踏まえた上で、綺麗な写真とはなんでしょうか。
綺麗な写真とは「まるで加工でもしたかのような幻想的でアートみたいな写真」なのか、それとも「肉眼で見た通りの風景を写した写真」なのか、議論が分かれるところです。
どっちでもいいと思うんですけどね、観ていて楽しくなれば。
そこで、この2つのパターンをそれぞれ撮ってみましょう。
カメラにシャッタースピードを任せると、誇張して写る
まず、石垣でも良し、ごみ箱の上でも良し。他の人の邪魔にならない場所にカメラを置きます。構図の高さは小物や、冬ならマフラーなどを挟んで調節します。
はい、これで三脚がなくてもカメラが固定できました。
ここで注意点が。三脚を使った時と同じように、手ぶれ補正は切っておきます。
そして絞り(F値)は8~11で固定します。じつは、絞り(F値)はこのぐらい閉めたほうが、よりくっきりシャープに写るのです。
ISO感度は200以下に固定します。これでノイズの心配もありません。
そしてシャッターを押す。恐らく10秒以上かかるでしょうか?
SS25秒・F8・ISO200
実際に肉眼で見るより明るく鮮やかに見えますね。
SS30秒・F8・ISO200
こちらも実際には夜なのに空が明るくなっていたり、プロメテウス火山も街並みも、実際より明るく写っています。
このように、シャッタースピードをカメラに任せると、実際よりも明るく、煌びやかな絵になります。
夜景を肉眼で見たままを写したい
では、肉眼で見たままに写す場合はどうすればいいのでしょうか?
答えは簡単で、カメラ任せだったシャッタースピードを少し遅くすれば、おのずと過剰だった明るさも落ち着くわけです。
しかし、先ほど触れた通り、パーク内は場所によって明るさが異なり、その都度設定しなおすのは大変です。
そこで、ここではバルブモードを使います。ダイヤルに「B」が無いカメラを使っている方は、M(マニュアル)モードにし、シャッタースピードを30秒以上にすると、バルブモードに切り替わるかと思います。
いままで通り、絞り(F値)8~11、ISO感度は200以下で固定します。
こちらはアラビアンコーストをシャッタースピードお任せで撮影したものです。綺麗に写っていますが、実際はこれよりだいぶ暗いのです。
そこでBモードにします。Bモードは、自分の任意の時間だけシャッターを押していられますので、シャッタースピード20秒にしたければ、シャッターを押して20秒後に指を離せばいいのです。毎度設定するよりも簡単ですよ!
この実際の見た目に近い写真は、カメラ任せでは20秒だったシャッタースピードを、Bモードで12秒にしたものです。他の設定は変えていません。
この写真もカメラ任せのシャッタースピード20秒を、Bモードで8.4秒に。すると・・・
肉眼で見た通りの絵になるんです。もし、ちょっと違うなぁ・・・という場合でも、設定は変えずにもう1回取り直せばいいだけなので、じつに簡単です。
撮影したい場所にカメラを固定できるところが無い時
ディズニーの夜景を撮りたいのに、あいにく近くにカメラを固定して置ける場所が無いなんてこともあります。
僕も、少しの手ぶれで写真が歪んでしまう事に悩まされていました。そこで発見したのがコレ。
Velbonから発売中のワイヤー式カメラ固定器具です。カメラの三脚取り付け部分に取り付けて使用します。
使い方は簡単。メジャーのようにワイヤーを引き出し、足で踏みます。ロックをかけるとワイヤーが動かなくなりますので、撮影に丁度良い長さでワイヤーをロックして撮影するだけ。
ワイヤーがピンと張っていますので、カメラが安定してぶれない仕組みです。
また、足で踏まずに、ベルトに固定しても使えます。
ちなみに、カメラを完全には固定できないので、手ぶれが心配です。
レンズの手ぶれ補正はオンにしましょう。
Avモードで先ほどの設定より絞り(F値)は1~2段開けて、ISO感度も1つ上げます。(ISO感度は上げ過ぎるとノイズが目立つばかりか、不自然に空が明るくなりますので、個人的にはなるべく上げないで頑張ります。)
F5・ISO400で、シャッタースピードをカメラお任せで撮影(ベルボンのワイヤー使用)の写真をいくつか。
手ぶれも最小限ですから、1つカメラバッグに忍ばせておくと便利ですね。
これならば、三脚禁止のパークでも使えます(インフォメーションセンター確認済)から、夜景はもちろん、日中でもより綺麗な写真を残せます。ぜひ試してみて下さい。
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